【 海住山寺 】

・ 重文 本堂十一面観音立像



 海住山寺とはなんと心引かれる名前でしょう。また山中にある寺にして謎めいています。この名はここに住んだ鎌倉時代の名僧貞慶が、海は観音の誓願の海を表わしてそこに安住する意と、観音の住みかである補陀落は海中にある山であることに因んで付けたと言います。
 本尊の観音像は、貞慶が入山する遥か前の平安中期以前の作で、そのお顔立ちや姿に観音の救済力を表わしたような、一種不思議さを感じさせる造形となっています。観音の頭頂は木を削り出したままとし、背面も荒彫りを残すなど、観音が木から現われた様を示していると考えられる表現もみられます。

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